やさしい食卓

ほどよく煮えた

ポトフを前に

父さんは不機嫌だ


大好物のはずなのに

今夜は楽しみって

トーストかじりながら

笑っていたのに


みるみる満ちてく

涙の泉


ほろほろくずれる

にんじん

おじゃが


ぼくの心も

ポトフの湯気も

すっかり凍えて


母さんの花柄エプロンを

ぎゅううっとにぎってた


オトナになんてならない

そう決めたんだ

あの夜

やさしい食卓で