ぼくと妻#2〜トーザ・カロットの人々

妻が

旅猫の種族の中でも

とびきりの歌い猫だったことは

聞いているだろう

窪みにいる頃は猫が歌うなんて

信じちゃいなかったがね


妻から教えてもらった歌は

今思うと

生きる星を選べない者にとっては

不吉な言霊が並ぶものばかりで


妻は

どこでも楽しげに歌っていたが

ふたりで街を歩くと白い目で見られたものだ


何しろ

最後には猫しかいなくなるという

歌ばかりだからねえ


孫はぼくと違う種族だから

できればあまり教えたくない歌なんだよ

“空降り”や“雲落ち”予報の参考になるからと

聴きたがるんだが

どうしたものかねえ


ミケが“にゃぁ”しか言わなくてよかった

おや

しっぽを揺らしているね

こんな話でも退屈しないのかい