詩人屋さんといっしょ#1〜トーザ・カロットの人々

「おはようございます

 今日の空は降ることを忘れているみたいですよ」


そんなことを言いながら

訪ねてくるのは一人しかいない

同族ではないが旅好きで

星を渡りたいと夢見て

とうとう雲を数える仕事についてしまった


おはようございます

相変わらず編み物をもつれさせてるの?


「なんとでも言ってください」


店主ってばおしゃべりなんだから、とこぼしつつ

それでも彼女は


「落ち空を預かってきました」


真面目な顔になった


すまないねえ

雲を数えられない人たちは

空をそのまま持ち運ぶなんて

まず無理な話だから


「訓練しても?」


人たちの持つ資質は

どこの星だってさまざまなのよ

あんただって毛糸はもつれさせるほうが得意だろうに


軽口をたたいてしまうが

彼女は


「雲を数えることも、宿命なんでしょうか」


ぽつりと言った